【剣盾S14 シングル】毒撒き棘玉とまんまるマスコットたち【最終701位】
構築経緯
①
環境トップであるサンダー、エースバーンに対して「こだわりスカーフ」を持った連撃ウーラオス+霊獣ボルトロスの"並び"が高い汎用性を持って扱えるのではないかと考え、この2体をメインにして構築を組み始めた。
②
この2体で重めなドラパルトに対して強く出られる上、霊獣ボルトロスと併せてサンダーを比較的安定して対処することが可能なポリゴン2を採用。
③
サイクルを回す中で苦手なエースバーン、ゴリランダーに対して安定した引き先となれるカイリューを採用。
④
ここまでやや重めなカバルドンやカプ・レヒレに対して圧をかけられ、受け構築に対する崩しとして動かせるカミツルギを採用。
⑤
最後にこのままだと相手の積みアタッカーに為す術もなく破壊されてしまうため、ストッパーになりつつ対面選出を担え、誤魔化せる範囲が広く汎用性の高いミミッキュを採用して一旦の並びが出来上がった。
⑥ →
ある程度の試合数を重ねているとカミツルギの選出率が異様に低いことに気が付き、本構築に組み込むには適していないのではないかと感じた。そこでカミツルギ同様にカバルドン、カプ・レヒレに対して圧力をかけられて崩し役も担える他、最低限のサイクル性能を持っている点からカミツルギの枠にゴリランダーを新たに採用した。
⑦ →
この状態でも未だにカプ・レヒレ入りの構築や、ポリゴン2入りの構築に対するサイクルが不安定である点が気掛かりであった。この問題を解決しつつ他のポケモンに崩し役を任せる形をとして、ゴリランダーの枠をナットレイに変更。
各ポケモンの型に微調整を重ねた上で、最終的にこのような並びで構築が完成した。
コンセプト
★ 幅広い相手に対応できるサイクルと崩しの両立
★ ダイマックス前提のポケモンを作らず、試合展開に応じて柔軟にダイマックスを使用する
★ 相手のポケモンに対してなるべく複数の処理ルートを用意し、選択肢の幅を広げる
個別紹介
ミミッキュ
実は珠ミミッキュを筆者が使用したのは剣盾環境が開始してから今シーズンが初めてのことであった。クレセリア、ラティアス等のエスパータイプを相手してもらったり、サイクルを回した後の詰め筋として使う他、止めるのが困難な相手のダイマックスエースに対するストッパーとして活躍したりと、あらゆる場面において本構築の穴を1匹でしっかりとカバーしてくれていた。
本個体は火力を重視して性格は「いじっぱり」を採用しているが、ミラーを強く意識しないのであれば困る場面は特になかった。強いて言うなら最速カプ・レヒレに先制を許してしまう点くらい。
シンプルに使いやすく強かった。…が、使い始めたてのシーズン序盤で筆者の使い方がなっておらずガブリアス相手に対面負けたりしていた。申し訳ない。
連撃ウーラオス
※非キョダイマックス個体
構築の始点。ボルトロスと同居させることで最近の環境で流行していた「ボルトラオス」の並びを匂わせつつ、後述する本命の「カイリュー+ポリゴン2+ナットレイ(以下 カイリューポリナット)」の並びを悟られないようにする狙いがあった。
元々メインの戦術であったボルトロスとの攻めサイクルを遂行していた頃の名残で持ち物は「こだわりスカーフ」となっているが、初手に投げて「とんぼがえり」から始動する役割を任せつつ構築単位で重いフェローチェに対して強く動かせるよう、型の変更には至らなかった。
性格は火力増強とダイマックス状態のエースバーンへの「すいりゅうれんだ」の乱数を意識して「いじっぱり」としたが、最速スカーフカプ・レヒレやダイマックス時に最速ミミッキュに上をとられてしまう点が少し気になった。それに加えて、よりフェローチェとの素早さ関係を強く意識するのであれば「ようき」にするのも一考の余地あり。
初手にカプ・レヒレと対面した際は相手の最速スカーフである線をケアしつつ、相手に型を推測されてしまわないよう素引きを徹底していた。
この枠はウーラオス同様にフェローチェやブリザポスの対策となり、同時に状態異常を遮断できるカプ・レヒレを候補として考えたが、後述するナットレイの型とシナジーが悪いことから今回は採用を見送った。
相手にスカーフ持ちであることが読まれやすく、不意に来る自分より速いスカーフ持ちに屠られたりと終始動かしにくさを感じていたが、それでもシーズン序盤から最後まで構築から外れることなく活躍してくれた。圧倒的感謝。
霊獣ボルトロス
構築の始点その2。電気と地面の一貫を切れる優秀なタイプと特性で、何よりも最近のサンダーがよく使う「かいでんぱ」が無効である点が非常に強い。当初は「こだわりメガネ」を持たせて運用していたが、構築全体でカバルドンやラグラージ等の「あくび」展開に対する明確な耐性を用意していなかった点と、受け構築に対して技を拘っている状態では崩しにくいと感じ、「ラムのみ」を持たせて「わるだくみ」を搭載した型に変更した。
攻撃技はメインウェポンである「10まんボルト」、カバルドンやラグラージ、ヌオーへの打点となる「くさむすび」、命中不安の為あまり採用したくはなかったが、ラッキーやハピナス等で止まらないよう「きあいだま」としている。
サンダーやウーラオスに先制をとれるよう最速としており、この配分のお陰で拾えた試合も多くあった。しかしながら元の耐久が決して高いポケモンではないので、対サンダーでより安定しつつ本来の役割対象へより適した配分となるよう更に耐久へ、もしくは火力に努力値を割いても良かったかもしれない。
本シーズン終盤での大事な場面で「きあいだま」を外すことは殆どなく、本当によく頑張ってくれた。
ナットレイ
※S個体値 0
毒撒き棘玉。本構築のメイン戦術を大幅に一変させた上で「カイリューポリナット」の並びを確立させた中核である。この型の採用に至った経緯については、カイリューの型を構築記事から模索していたところ「どくどく」を搭載したナットレイと組み合わせた「カイリューナット」の並びを使用していた方の記事から着想を得た。
この「どくどく」による負荷でサイクル下のダメージレースを優位に進められるようになり、後述するポリゴン2、カイリューに懸念されていた火力不足を見事に補ってくれた。相手のポリゴン2等の高耐久ポケモンを崩すだけに留まらず、後投げされるサンダーに対しても毒を刺すことでこちらのポリゴン2と併せて粘り勝ちを狙えるようになった。「ねっぷう」を持たないサンダーに対してはナットレイ単体で詰ませることも可能である。
よりダメージレースを優位に進められる「ステルスロック」が欲しいと思うこともあったが、それ以上にメインウェポンでありミミッキュへの打点となる「ジャイロボール」、一番外す理由が無い「やどりぎのタネ」、定数ダメージ稼ぎやHP管理、相手のダイマックスを枯らせる「まもる」と、このようにどれも必要不可欠な技であったことから変更の余地は無いと思っている。
カプ・レヒレやポリゴン2といった特殊攻撃をメインとするポケモンに対して後投げする頻度が高いと想定し、努力値配分は当初からHDで運用していた。サンダーに対して居座り続ける際の負担を軽減できたり、たまに「ねっぷう」を耐えて無理やり毒を刺すこともできたりする。これまでよく使っていたHBと同じような感覚で物理技に対して後投げすると、思っていた以上にHPが削れてしまう点には注意が必要であった。
「みがわり」を持つ相手に対して無限に隙を見せてしまう点を除いては本当に強かった。この型のナットレイを採用して以降は順位がみるみる上昇していき、構築の完成度を高めることに直結したと感じている。
本来不利とされる相手に対してもサイクルの中で強い負担を与えることの重要性を大いに学べるポケモンであった。
ポリゴン2
【調整】
B < D (ダウンロード対策)
S : 同族意識 麻痺状態の最速ミミッキュ、最速ウーラオス抜き
まんまるマスコットその1。最終日直前に特性を「アナライズ」から「トレース」に変更。変更に至った意図としてはランドロスやカイリューに対して後投げする機会が非常に多かった点と、一番の理由は構築単位で重めであったヒードランに対して後投げし「もらいび」をコピーした上で「マグマストーム」のバインド効果によるサイクル崩壊を防ぐ為である。実際この変更によってヒードラン入りの構築に対しての勝利に貢献していた。
ドラパルト、ランドロス、カイリュー入りの構築には積極的に選出しており、その他には前述したナットレイの「どくどく」と併せてサンダーやポリゴン2等を受ける役割を担いつつ優位に立ち回っていた。あらゆるドラパルトの型に対応が効きやすい理由を第一に、幅広い相手を見るべく両受けが可能な努力値配分としている。
技構成に関してはこの組み合わせのまま今シーズンを通して使用していた。「ほうでん」は前述したナットレイとの相性が悪いが、毒を入れたい相手に対しては極力打たないことを心掛けていた。ミミッキュに対しては「ほうでん」から入ることによって麻痺を狙いつつ「アッキのみ」を発動させずに、その後は「イカサマ」による削りを行う立ち回りを徹底していた。その他にもドリュウズといった「つるぎのまい」等で崩そうとする相手が多く存在しており、そんな時に「イカサマ」がとことん刺さることから今環境においてかなり入れ得な技であると感じた。
運勝ちを狙えたり詰め筋として強力でありと最高のポケモンであった。
カイリュー
まんまるマスコットその2。エースバーンが存在する環境下で安定したサイクルを回せるという筆者が追い求めていた神のような存在。元々は「りゅうのまい」を採用した物理型で運用していたが、カミツルギの処理を迅速に行いたかった点と「てっぺき」を所持したナットレイの処理にもたつくことが無いよう特殊型に変更。実際この変更によってカミツルギとの撃ち合いをスピーディーに終わらせられたり、物理型であると誤認して立ち回ってきた相手に対してeasy winを拾う試合も多かった。ひとつの型として見て竜舞型と比較するとカイリューの性能を落としているように感じるが、前述したナットレイの毒と組み合わせることによって「はねやすめ」を絡めた詰め筋としてより強く動かせることを実現できた。
攻撃技はウーラオスやバシャーモへの打点でありダイジェットの媒体となる「エアスラッシュ」、ナットレイやカミツルギを強く意識した「かえんほうしゃ」、サンダーやランドロスに打てる「れいとうビーム」としている。ヒードランやウツロイドを意識した「じしん」を採用するのも視野に入れたが、変更する余地は無いと考え採用には至らなかった。
カイリューは前期からずっと使用していたポケモンであったが、「れいとうパンチ」を搭載したウーラオスが増加傾向であったことを含めて今期は特にマークが厳しいと感じていた。とはいえウーラオスがダイマックスを使用して「ダイアイス」を打つ展開や技を拘っているケースが多かったので、ある程度はプレイングでカバーしていた。
エースバーンの「ダイナックル」に対して後投げすると、その後の「ダイアタック(威力150)」が受からない点には注意が必要。その点を除いては対エースバーンにおいて最強のポケモンであった。
要点
★ 高い耐久力を持ったポケモン達による受けサイクル "カイリューポリナット"
本構築は基本的に決まった選出パターンは定めておらず柔軟に決める方向性であるが、こちらの3体による対応範囲が非常に広く、選出した機会が多くあったことから自然とこの並びが出来上がっていた。全体的に持ち合わせている火力自体は高くない為、サイクルを回していく中でナットレイの「どくどく」を隙を見て絡めることが勝利を目指す上で重要なポイントとなっている。長期戦になりそうな場合等、相手によっては最優先で毒を撒くケースもある。最終的にはダメージレースに打ち勝つ、もしくは毒や回復による詰ませの展開を目指していく。基本的に誰を初手に置いても展開を作りやすい並びとなっているので、初手に選出されそうなポケモンを予想した上でこちらが誰を初手に置くかを選択する。
★ プランを複数用意し、選択肢の多様化を目指す
←
←
主に環境トップのポケモンに対して、
「○○は刺さっていないけど◇◇の為に出さなければならない」
といったように選出が窮屈となってしまうケースの多発を極力減らすことによって選出幅の増加、及び選出択の減少を目指していた。しかしながら筆者があまりにもカイリューを信用し過ぎているが故にエースバーンに対しては大体カイリューを選出していたし、サンダーにも普通に負ける時は負ける。この理論をどう上手に実行できるかが筆者の今後への課題であり、構築作りに奮闘する未来の自分へ送るメッセージでもあるのだ。
苦手なポケモン
誰一人として受かっていない。大体初手に選出されるのでウーラオスを合わせて対面有利をとっていけるが、相手の控えにサンダーがいると麻痺のリスクもあって非常に立ち回りにくい。
パッチラゴン
タイプの一貫は切っていたとしても簡単に止められるポケモンではないので対処が非常に厳しく、下手したら3タテも起こりうるので常に気が抜けない相手である。ポリゴン2でダイマックスを合わせるかミミッキュでストップをかけたい。
このポケモンがいると選出が歪まされやすいと感じた1体。壁張りとセットで出されると特に苦しい。ミミッキュかポリゴン2でどうにか気合で処理したり、対面で殴って裏のポケモンの圏内に入れる等をしたいところ。
ピクシー
ほぼ対策は切っていたが、あらゆる型を考慮するとなれば対処の仕方が非常に難しい相手である。ミミッキュで殴り合うか特性が「てんねん」である願望を込めてナットレイの毒を入れるかポリゴン2を合わせることで誤魔化していた。このような立ち回りを行った上で特性が「マジックガード」であった場合はもれなく試合が終了するが、幸いなことにナットレイを合わせた相手は「てんねん」である個体としか遭遇せず、炎技を打たれることもなかった。
個体数は少なかったのでこちらも対策はほぼ切っている。「あくび」や「めいそう」による展開がいずれも厳しい。ナットレイで無理やりダイマックスを切って処理することもあった。筆者が構築を組むと毎回このポケモンが重くなっている気がする。
ミミッキュかウーラオスで対面処理を狙うくらいでしか対処ができない。それ以外のポケモン達はもれなく焼却されるか「わるだくみ」の起点となる。
その他にも苦手なポケモンは存在するが特に目立っていたのはこの辺り。
成績
TN どそ 最高レート 192×〜193×
最終レート 1908 最終701位
後書き
今回のシリーズ7と同じ環境が最後かもしれない今シーズンは特に力を入れて取り組みたいと考えていて、結果は自身初となる最終3桁を達成できて非常に嬉しいものとなりました。
今回組んだ構築は性質上試合が長引きやすい点と、命中不安技を多く採用していることから運負けが発生する頻度が高いものとなっており、下振れた際にはとことん黒星を増やしてしまうといった難点はありました。自分で言うのもなんですが、それを引っ括めても過去のシーズンを含めて一番自信のある構築に仕上げることができたのではないかと思っています。
次なる目標となるレート2000の達成を目指して、今後もポケモンというゲームを楽しんでいきたいと考えております。長くなりましたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。